
只管打坐・ただひたすらに坐る
曹洞宗の教えの根幹は坐禅にあります。それはお釈迦さまが坐禅の修行に精進され、悟りを開かれたことに由来するものです。禅とは物事の真実の姿、あり方を見極めて、これに正しく対応していく心のはたらきを調えることを指します。そして坐ることによって身体を安定させ、心を集中させることで身・息・心の調和をはかります。
曹洞宗の坐禅は「只管打坐(しかんたざ)」、ただひたすらに坐るということです。何か他に目的があってそれを達成する手段として坐禅をするのではありません。坐禅をする姿そのものが「仏の姿」であり、悟りの姿なのです。
私たちは普段の生活の中で自分勝手な欲望や、物事の表面に振りまわされてしまいがちですが、坐禅においては様々な思惑や欲にとらわれないことが肝心です。
道元禅師はまた、坐禅だけではなくすべての日常行為に坐禅と同じ価値を見いだし、禅の修行として行うことを説かれています。修行というと日常から離れた何か特別なことのように聞こえますが、毎日の生活の中の行い一つひとつを坐禅と同じ心でつとめ、それを実践し続けることが、私たちにとっての修行なのです。

曹洞宗宗務庁発行「禅」(平成22年7月20日 第1版発行)より転載
供養
先祖供養
私たちのいのちは、数え切れないほど多くのご先祖さまの存在と出会いに支えられて、今ここにあります。ご先祖さまをお祀りすることは、私たちの生命の尊さを実感し、感謝の気持ちを表そうとする行いです。
供養という営みを通じて、私たち一人ひとりが「かけがえのない生命の尊さ」に気づき、日々の生活を振り返る機会にしたいものです。
葬儀
誰にでも訪れる「死」という別れの現実。それはとても辛く、でも決して避けることのできないものです。そんな別れの苦しみを少しでも和らげ、死の現実を受け止めるきっかけとなることを願いながら、葬儀は行われてきました。
曹洞宗の葬儀は、故人に仏弟子として守るべき教え(戒法)を授け、さとりの道へとお送りするものです。これを授戒といい、同時に仏弟子としての名前(戒名)が授けられます。
この葬儀での授戒は生きている私たちにも大きな意味を持ちます。故人とともに戒法にふれることで、私たちも仏さまとつながり、また故人の人生を振り返り、正しく生きる智慧を受け継ぐ事で、私たち自身も仏の世界へと導かれるのです。
葬儀は、生死を問わず、すべての人びとをさとりと安らぎの世界へと導く儀式なのです。
菩提寺とは
あなたのご先祖さまがお世話になっている菩提寺は、通夜、葬儀をはじめ仏事を支えてくれる心強い存在です。
親しい人が亡くなったなら、まず菩提寺に一報を入れるようにしてください。たとえ菩提寺が遠方にある場合でも、必ず連絡を入れるようにしましょう。
また、葬儀や法事などに限らず、普段から気軽に菩提寺を訪れ、住職とお話ししてみましょう。
曹洞宗宗務庁発行「禅」(平成22年7月20日 第1版発行)より転載
合掌・叉手
合掌(がっしょう)
相手に尊敬の念をあらわす作法です。両手のひらを合わせてしっかりと指をそろえます。指の先を鼻の高さにそろえ、鼻から約10cm離します。ひじを軽く張り、肩の力は抜くようにします。

叉手(しゃしゃ)
立っている時、歩く時の手の作法です。左手を、親指を内にして握り、手の甲を外に向け、胸に軽く当てて右手のひらでこれを覆います。


入堂(にゅうどう)の仕方
手は叉手にして、入口の左側の柱(襖・障子等)のそばを、柱側の足(左足)から、坐禅堂に入ります。坐蒲を持って入る場合は、必ず両手で持ちます。坐禅堂に入ったらいったん立ち止まり、聖僧(しょうそう)さまに合掌低頭(問訊)します。手を叉手にもどして、右足から進んで自分の坐る位置(坐位)に行きます。なお堂内では聖僧さまの前は横切らず、必ず後ろを通るようにします。

隣位問訊・対坐問訊
隣位問訊(りんいもんじん)
坐る両隣の人への挨拶です。自分の坐る位置に着いたら、その場所に向かって合掌低頭します。両隣に当たる二人はこれを受けて合掌します。

対坐問訊(たいざもんじん)
坐る向かいの人への挨拶です。隣位問訊をしたら、合掌のまま右回りをして向かいに坐っている人に合掌低頭します。向かい側の人は、これを受けて合掌します。

足の組み方(結跏趺坐・半跏趺坐)
まず、坐蒲がおしりの中心に位置するようにして、深すぎず浅すぎず坐り、足を組みます。結跏趺坐でも半跏趺坐でも、大切なことは、両膝とおしりの三点で上体を支えるということです。ただし、体調・体質には個人差がありますから、無理をせず坐り方を工夫すると良いでしょう。
結跏趺坐(けっかふざ)
両足を組む坐り方です。右の足を左の股の上に深くのせ、次に左の足を右の股の上にのせます。

半跏趺坐(はんかふざ)
片足を組む坐り方です。右の足を左の股の下に深くいれ、左の足を右の股の上に深くのせます。

手の組み方(法界定印)
坐禅の時の、手の組み方です。右手を左の足の上におき、その上に左の手をのせて(右手の指の上に左の指が重なるように)両手の親指を自然に合わせます。この手の形を法界定印(ほっかいじょういん)といいます。組み合わせた手は、下腹部のところにつけ、腕と胸の間をはなして楽な形にします。両手の親指はかすかに接触させ、力を入れて押しつけたり、離したりしないようにします。


上体の姿勢
背筋をまっすぐにのばし、頭のてっぺんで天井を突き上げるようにしてあごをひき、両肩の力をぬいて、腰にきまりをつけます。この時、耳と肩、鼻とおへそとが垂直になるようにして、前後左右に傾かないようにします。

口の閉じ方
舌先はかるく上あごの歯の付け根につけて口を閉じ、口の中に空気がこもらないようにします。
視線の位置
目は、半眼といって、見開かず細めず自 然に開き、視線はおよそ1メートル前方、約45度の角度におとします。目をつむると眠気を誘うので、目は閉じないようにします。

呼吸の仕方(欠気一息・かんきいっそく)
坐禅の姿勢が調ったら、静かに大きく深呼吸を数回します。その後、静かにゆっくりと、鼻からの呼吸にまかせます。
左右揺振(さゆうようしん)
上体を振り子のように左右へ、始め大きく徐々に小さく揺すりながら、左右どちらにも傾かない位置で静止し、坐相をまっすぐに正しく落ちつかせます。

坐禅の用心
さまざまな思いにとらわれないことです。坐禅をしている間にも、さまざまな思いが浮かんでは消えていくとは思いますが、思いは思いのままにまかせ、体と息を調えて坐ります。
止静鐘(しじょうしょう)
坐禅の始まる合図です。参禅者の坐相(ざそう)が調ったころ、堂頭(どうちょう)が入堂して堂内を一巡し、正しい坐にあるかを点検します。これを検単(けんたん)といいます。堂頭が自分の後に巡ってきた時は合掌をし、通り過ぎた後に、法界定印にもどします。この後、止静鐘(しじょうしょう)(鐘3回)が鳴ります。止静鐘が鳴ったら堂内に出入りをしてはいけません。
警策(きょうさく)の受け方
坐禅中に眠くなったり、姿勢が悪かったり、心がまとまらなかったりした時は、警策で肩を打ってもらいます。この警策は、聖僧さまから励ましとしていただくのです。 警策は自分から合掌して受ける方法と、直堂(堂内を監督し警策を行ずる者)が入れる方法と、二通りあります。どちらの場合も右肩を軽く打って予告しますので、そうしたら合掌のまま首を左に傾け、右肩をあけるようにします。受けおわったら合掌低頭して、もとの法界定印にもどします。
経行(きんひん)の仕方
坐禅を一炷(いっちゅう・40分ぐらい)行った後、引き続き坐禅をする場合には、途中で経行を行います。経行とは、堂内を静かに歩行することをいいます。
坐禅中に経行鐘(きんひんしょう・鐘2回)が鳴ったら合掌低頭し、左右揺振して足を解き、右まわりで向きを変え静かに立ちあがります。坐蒲を直してから隣位問訊、対坐問訊をし、そのあと叉手にしてしばらくまっすぐに立ち、呼吸を調えてから経行に移ります。
歩き方は一息半歩(いっそくはんぽ)といって、一呼吸する間に、足の甲の長さの半分だけ歩を進め、次の一呼吸で、反対の足を同じく半歩だけ進めます。列の前後を等間隔に保ち、堂内を緩歩(かんぽ)します。時間になり、抽解鐘(鐘1回)が鳴るのを聞いたらその場に両足を揃えて止まり、叉手のまま低頭します。その後、普通の歩速で自分の坐位に戻ります。
曹洞宗宗務庁発行「禅」(平成22年7月20日 第1版発行)より転載
叉手(しゃしゃ)
立っている時、歩く時の手の作法です。左手を、親指を内にして握り、手の甲を外に向け、胸に軽く当てて右手のひらでこれを覆います。

合掌・叉手
合掌(がっしょう)
相手に尊敬の念をあらわす作法です。両手のひらを合わせてしっかりと指をそろえます。指の先を鼻の高さにそろえ、鼻から約10cm離します。
ひじを軽く張り、肩の力は抜くようにします。


入堂(にゅうどう)の仕方
手は叉手にして、入口の左側の柱(襖・障子等)のそばを、柱側の足(左足)から、坐禅堂に入ります。坐蒲を持って入る場合は、必ず両手で持ちます。坐禅堂に入ったらいったん立ち止まり、聖僧(しょうそう)さまに合掌低頭(問訊)します。手を叉手にもどして、右足から進んで自分の坐る位置(坐位)に行きます。なお堂内では聖僧さまの前は横切らず、必ず後ろを通るようにします。

対坐問訊(たいざもんじん)
坐る向かいの人への挨拶です。隣位問訊をしたら、合掌のまま右回りをして向かいに坐っている人に合掌低頭します。向かい側の人は、これを受けて合掌します。
隣位問訊・対坐問訊
隣位問訊(りんいもんじん)
坐る両隣の人への挨拶です。自分の坐る位置に着いたら、その場所に向かって合掌低頭します。両隣に当たる二人はこれを受けて合掌します。


曹洞宗宗務庁発行「禅」(平成22年7月20日 第1版発行)より転載